小学生がなんで勉強が嫌いになってしまうのか?ー50人以上の小学生を見てきた校長が教える「勉強嫌いの秘密」
目次
勉強が「好き」なのも「嫌い」なのも秘密がある
小学生のお子様をお持ちの親御さんからのお話でよく出てくる話題は
成績が「いい」か「悪い」のお話よりも、圧倒的に勉強が「好き」か「嫌い」のお話が多いです。
そこから派生して、勉強する・しないのお話になってくるのですが…
さて、ここで気になるのが
どんなことがきっかけで勉強が「好き」と「嫌い」に分かれるのか?ということ。
この記事では
「嫌い」になるきっかけ
そして「どういう工夫をすれば勉強が好きになってくれるのか?」を
50人以上の小学生の生徒を見てきた校長が少しだけご紹介します。
「うちの子が勉強嫌いで困っているんです…」
嫌いになるきっかけは何?
この声は塾で働いているときから尽きたことがありません。
そもそも「勉強が好きで、さらに勉強したくて塾に来ました!」
なんて人は今まで私の経験上1人いるか、いないかくらいです。
実際にどんなきっかけで小学生の子供たちが
勉強が嫌いになったり、好きになるのか?をまとめてみます。
★嫌いのきっかけ1 「できない」「わからない」の蓄積★
大人でも同じだと思っているのですが
「できない」が溜まってくると
「僕・私は(能力がなくて)できないのかな…」と自信がなくなります。
そこから自分はできない・頭が悪いなど
自分を否定してしまうことになり、結果として勉強そのものが嫌いになってしまうのです。
また、「わからない」が溜まってくると
同じように自分ができないのかも…と思ってしまうことと同時に、
「未知のものに対する恐怖・不安・嫌悪感」という
人間の本能に反応するのではないかと私は思っています。
いずれにせよ、「できない」「わからない」が溜まる前に手を打たないと
嫌いが加速し、勉強するステージに持っていくのが大変になります。
★嫌いのきっかけ2 お母さん・お父さんの一言★
親御さんの思いやりの一言が実は嫌いのきっかけを作ってしまうことも。
例えばこんなことをつい言ってしまったりしませんか?
「なんでこんなのもわからないの?」
「ママ(パパ)が小学生の時はできたんだけどなぁ…」
「(怒りながら)やらないんだったらもう勉強しなくていい!」
「早く勉強しなさい!宿題しなさい!」
「○○ちゃんはテスト×点だったらしいよ。」
小学生の子供たちが塾に来たとき、これで自信を無くしてしまったと話している子がいました。
一番勉強がわからなくて困っている・悩んでいるのは
実は親御さんに話している・いないに関わらず子供たちだったりします。
学校で点数を友達と見せ合いっこしたり、
隣の机の友達の点数がちらっと見えたときに自分と比較したり…
気にしていないように見える子でも実は気にしていたりします。
お母さん・お父さんの声掛けも、場合によっては裏目に出てしまう可能性も。
★嫌いになるきっかけ3 「頭が悪い」という思い込み★
勉強が嫌いな子に多いのが
「自分は頭が悪いんだ…」という思い込みを持ったまま勉強していること。
本当はやっていないだけで、できる可能性があったり
習い方・捉え方を別の方法に変えるだけで実はできたり…
自分の能力・脳力のせいでできないという
勝手な思い込みのせいで勉強が嫌いになってしまう子供たちもいます。
また、脳や思い込みには無限の可能性が秘められているとも言われています。
私も参考にしているサイトですがこちらに書いてあるように
”人は思い込みの力で自分を変えられる”と科学的にも証明されています。
科学が証明、「不安だ」を「〇〇している」に言い換えるだけで実力が3割増しになる
のびのびとした脳内環境での勉強は「好き」につながりやすいと私は考えています。
「頭が悪い」という思い込みで窮屈になり、嫌いが加速してしまう可能性があります。
★嫌いになるきっかけ4 だらだらメリハリ・ゴールのない勉強★
例えばランニングが大好きな人がいるとします。
その人に「とりあえずずっと走っておいて」と投げかけたとしましょう。
本当にこの人はずっと走るのが好きでい続けられるでしょうか?
いくら好きな人でも、途中で嫌になってしまったり
フルマラソンよりも短い地点で
終わってしまうなんてこともあるかもしれません。
マラソンや短距離走でも「目標」「ゴール」「時間」など
期限が決まっていて、そこに向けて走るからこそ楽しく
そのときに得られる「達成感」が一つの楽しみとして生まれます。
勉強も同じで、だらだらとメリハリやゴールなく勉強していると
嫌になってしまうのです。
好きに変えるための魔法のテクニック
1度嫌いになってしまったものを「好き」に変えることはできるのか…
結論、私は【時間はかかるかもしれないが可能】だと考えています。
なぜなら実際に一緒に勉強していて、頑張る子たちをたくさん見てきたからです。
もともと塾やオンライン指導を使いだした子たちは
大半が「勉強嫌い」です。
でもその子たちがみるみる勉強したり
ちょっと笑顔を見せてくれたり、点数を見せてくれたり。
実際にちょっとずつ好きになったり、勉強に前向きになってくれるように
なった子たちがこの魔法の実力の証明だと言い切れます。
では私がどんなことをしてみたのか?
これをちょっとだけご紹介しますね。
★好きになるための魔法1 小さいできた!を積み重ねる★
きっかけ1,3の対処法になっています。
自転車に初めて乗ったときのことを思い出してください。
初めからいきなり2輪車に乗れた人は少ないと思います。
補助輪から始まって、そこから慣れたら補助輪を外し
何度もこけながら何十回もチャレンジしている中で
乗れるようになるのが一般的ですよね。
いわゆる「スモールステップ」というものです。
学校の勉強では、なかなかこのスモールステップが
見えにくくなっています。
また、1つつまずくとそのフォローは学校ではしきれない場合もあり
そのまま進んでしまいます。
勉強の具体的な単元でいうと、例えば倍数・公倍数だと
① 倍数が何かわかる
② 公倍数が何かわかる
③ 公倍数が求められる
④ 文章題
といったように、1つの単元の中でマスターしないといけないことが
4つのスモールステップに分かれています。
これを1つずつちゃんと「できた」まで持っていくことで
自分の自信や好きに変わっていきます。
★好きになるための魔法2 目標とごほうびを決める★
きっかけ4の対処法になっています。
だらだらやるのは子供たちが疲れてしまうのもありますし、集中力もつかず
ただ「勉強した(ような集中していない)時間」というのだけが残ります。
なので、目標は
「●時(●日)までに~を終わらせる」と具体的に決めます。
これは学校の宿題やそれ以外の勉強ツールでも同じです。
勉強を始める前に一度この習慣を2~3分とるだけで、
子供たちの取り組み方は見違えるように変わります。
そうすると結果として勉強時間が短いけれども
濃度が濃くなるので、いい時間の過ごし方ができるようになります。
結果として、長々と勉強するよりも
遊びにも時間がつけるようになり、勉強嫌いが軽減されていきます。
★好きになるための魔法3 声かけを前向き・誉め言葉に転換★
きっかけ2の対処法であり、これが一番効果が高いです。
しかしながら声をかける側のテクニックや考え方も高度になります。
一例としてあげられるのは
なんでこんなのもわからないの?
⇒ あきらめずに考えててすごいね。もしわからないこと出たら聞いてもいいよ!
ママ(パパ)が小学生の時はできたんだけどなぁ…
⇒ ママ(パパ)もこれやったことあるよ! 例えばこれってわかる?
(あえて質問してわからないを引き出す)
などなど…
できないことを認識し、受け入れる力も必要ですが
中学生・高校生といった高等教育をうけるときにでもそれは学べます。
小学生の間はまず、前向きに・自分ができることを認めるというところを
大切に声かけをしてあげることで小学生時代の勉強嫌いを軽減することができます。
結果として、中学・高校でも積極的に学ぶ子に育っていくのです。
★好きになるための魔法4 とにかく小さい事でもほめる!★
大人も子供も同じですが、やはり褒められると嬉しいものです。
塾に来ていた子たちも、お母さんに褒められたという報告をしてくる子は
大学バイト時代からたくさんいました。
★魔法1で紹介したスモールステップができたとき
★ちゃんと宿題を終わらせたとき
★テストをいい点でも悪い点でも見せてくれた時
どんなときでもまずはほめてあげてください。
そこから「次も頑張ろう」だったり、「今度はこうしよう」と
前向きな解決策やコメントを入れてあげると素直に聞いてくれます。
親御さんに褒めてもらった経験を糧に勉強ができる・好きになる子は
本当にたくさんいます。
親子関係も良好になるのでぜひお試しください!
校訓
「勉強嫌い」は「褒め」と「できる」の
ミルフィーユで変わる!
いかがでしたか?
今回は小学生の勉強嫌いの秘密をお伝えしました。
この悩みは一朝一夕で解決できるものではありません。
だからこそ根気強く、第三者のサポートも入れながら取り組むことを
校長はおすすめしています。
上のテクニックはほんの一部で、他にもその子の性格に合わせた
対処法やかけ合わせの方法があります。
少しずつ紹介していくので、小学生のお子様をお持ちの方に役立てられたら幸いです。
執筆者:岡村有希子(「ホームラーニング パプリカ」初代校長)